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尾野 美代子 尾野 美代子

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父との別れ

2009年11月19日20:18:24

 前回のつづき

 悩みながら仕事をしているうち、ある日の仕事帰りに、父の見舞いに行きました。

やせ細った父が点滴を打ちながら、病室で寝ている姿を、しばらく見入っておりました。そーいえば父の顔をこんなにじっくり見たことなかったなーなんて思いながら。そのうち看護婦さんが来て点滴の様子を見に来た時起きちゃって、「おおー来とったんかー」とか言いながら、それから2時間くらいたぶん生まれて初めて二人であんなに話をした。話の中でパン屋になる話になり、父は、「やるんじゃろお?まさるが一歩踏み出すまで生きたかったのー」って涙を浮かべながら言う父をなにも言えず見ていた。

事業に失敗し、母と離婚し、癌の死亡宣告を受けながらも一人闘病生活を送る父が、息子である私に夢を託し応援してくれている。こんな凄い事ってあるでしょうか?

これから起こすであろう事業の心得等、父の遺言とも言える言葉を一つ一つ噛みしめながら頭に叩き込み、それは、きっと一生の財産として私の中で生き続ける。

そのうち、夕飯が運ばれて来た。ほとんど食べれるはずないのに、元気な姿を見せたかったのか、ほおばって食べる姿が私が見る最後の元気な姿でした。

次の日の夜遅く、病院から容態急変の連絡を受け、母を連れて病院に駆け込み、9年間離れ離れだった母の姿を見てか一旦持ち直したかに見えましたが、一週間後亡くなりました。最期を看取る時、最後の男と男の約束を交わしながら。「おやじの意志は俺が引き継ぐから安心しろ」と。 しばらくして会社に辞表を提出しました。

つづきはまた今度見て下さい。来週の木曜日更新予定です。 次回から修行編です。