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尾野 美代子 尾野 美代子

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修行編 

2009年12月3日23:34:40

 前回のつづき

 不思議と辞表を出してから、悩みから解き放たれたかのように、体が軽くなりました。

 実を言いますと、辞表を出してから、妻以外の身内に報告したんです。変に止められて、決意が鈍るのが嫌だったから。案の定びっくりされましたけど、みんな納得してくれました。

 これから自分のすべてを賭けてこの世界に飛び込むんだという決意と、会社を辞める時にも何も言わず見守ってくれた妻、亡くなる間際迄応援してくれた父の為にも絶対成功させて見せるというやる気で溢れかえっていた。そこには、不思議と不安よりも根拠のない自信があった。

 退職後、ゆっくりする事も無く、新しい仕事に入って行きました。配属が決まる前日に社長と面談し、まず2年間修業し、それから独立を考えようと言って頂きました。

 深夜1時からのスタートということで、前日昼間寝とこうと思っても全然寝れなくて、そのまま行ったことを覚えています。そこで私の師である主任と出会いました。そこでどんだけ厳しくて、大変だった事を今ここでずらずら書いても面白くありませんので、趣向を変えてパンの製造について少しお話させて頂きます。

 まず初日、いきなり捏ねから指導を受けました。当分は、雑用のみだと思ってたからびっくりしました。でもこの世界、深夜製造するスタッフに雑用ってないんですよ。ほんと密度の濃い製造してる。ほんと職人て感じでめちゃくちゃかっこいい。

 簡単に説明すると、まず生地を捏ねる人がいて、もちろん機械で捏ねるんだけど、気温、湿度に応じて小麦粉、塩、砂糖、イースト、卵、牛乳、油脂、水等を基本レシピから微妙に調節しながら確実に素早く捏ね上げていく。それを約1時間休ませて、成形する人に生地を回す。それを魔法のような手さばきで次々と様々な形に姿を変えていく。更にそれを最終発酵させ、焼成する人が焼き上げたい大きさに膨らませる。ここでの工程が一番難しい。それを焼成し荒熱を取って仕上げする人に回す。この流れで様々なパンが出来上がっていく。

 パンをつくるうえで言えることは、すべての行為で正解が無いと言うこと。その時の状況判断でパンを育てていく。まるでそれは、子供を育てる行為にも良く似ている。

 パンは、生き物なのです。今、内のスタッフにもこの事をいった事があります。この意味が理解できた時、もっとパンが好きになれるし、好きになれれば技術も今より向上できるはずです。

 このブログを見て、パンに興味もって頂ければ嬉しいので次回、もう少しパンについてお話させて頂きたいと思います。また木曜日更新予定です。ありがとうございました。