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尾野 美代子 尾野 美代子

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修業編2

2009年12月10日23:09:32

 前回のつづき

 例えば、生地が捏ね上がった時点を、人間でいう母体から生まれ出た子供と想定する。この時から生地は、イースト菌が含まれる事により、呼吸を開始しはじめます。

 生まれ出た子供を保育器に入れる様に、生地は、乾燥を防ぐ為、密封状態にして、一時発酵にかける。この時生地に含まれるガスをしっかり膨らませてやることにより、元気をつけてやれます。

 又、人間の平熱が36℃とすると、生地の平熱は、26℃とされ(生地の種類によってさまざま)、捏ね上がり時点の温度で確認する。人間が38℃熱があると、しんどくて、ぐったりしますよね。生地も28℃あると、のびた様に、だれた生地になる。又、この時発酵も早いから、迅速な対応が求められる。30℃近くになることもあれば、24℃しか上がらない時もある。このような時は、元気が無いので、いつもより長めに発酵させたり、温度の高めな場所で密封して休ませる。

 つまり、人間がみんな人格、性格が違うように、どんな熟練された人が生地を捏ねても、毎回生地の温度も違えば、生地の状態も微妙に違う。計量さえ間違えて無ければ、失敗も正解もないということです。

 赤ちゃんが、何を望んでいるのか、何が不満なのか、親が見てやるように、生地を捏ねた人が、生地がどのようにされたいのか、生地と会話が出来るようになった時、捏ねの醍醐味が堪能できる筈である。

 教科書には無い、現場だからこそがそこには存在し、自信をもって送り出したお客様のもとえ、その時まるで、娘をお嫁に出すかの様な思いでパンを送り出す感覚を知った時、パン屋としてこの上ない至福である。

 今日もあなたの為に、あなたの望んだパンを、生きたパンを心をこめて送ります。

 次回から又、修業編のつづきです。木曜日更新予定です。